【入門ガイド】コールセンターのアウトバンド業務を理解する

July 1, 2022

アウトバウンドコールセンターは、適切に使用すれば、収益と顧客満足度の両方を高めるうえで効果的なツールとなりえます。この記事では、アウトバンド業務のタイプ、KPI、テクノロジー、コンプライアンス、業務成功のためのヒントについて紹介します。

アウトバウンドコールセンターとは?

アウトバウンドコールセンターとは、顧客または潜在顧客へ電話発信を行うカスタマーサービス、または営業の組織のことです。アウトバウンドコールセンターは、独自のテクノロジー、KPI、コンプライアンス要件を持ちます。

アウトバウンド業務は、電話だけに限りません。デジタル変革(DX)がコールセンターにとって重要なトピックである現在、メールやSMSなどのデジタルチャネルも、コンタクトセンターが顧客とやりとりするためのチャネルに含めるべきでしょう。

アウトバウンド業務の種類

Type of Outbound Campaigns

アウトバウンドコールセンターの業務は、以下のように分けることができます。

1.テレアポ(テレマーケティング)

顧客に製品やサービスを販促する業務です。顧客リストを元にエージェントが電話し、製品やサービスに対する関心を持ってもらうのが目的です。顧客に対して製品やサービスを説明し、興味の度合いを測り、成約の可能性がある一定の条件を満たした見込み顧客へ転換させます。

2.テレセールス

テレセールスは、専用の営業担当者が行う独立した業務です。テレマーケターが潜在顧客に対し製品とサービスの基本情報を説明した後、経験豊富な営業担当者が引継ぎ、成約を試みます。テレセールスのエージェントは、主に成約率で成果を測ります。

3.督促業務

アウトバウンドコールセンターは、債権回収などの督促業務で重点的に使用されます。エージェントは、顧客に対して期限超過または間近に迫った支払いを促したり、新たな支払い計画の設定を支援したりします。最終的な目標は、滞納者に債務を履行してもらうことです。督促業務は、滞納者を脅迫的な取り立てから保護する法律に準拠する必要があります。

4.調査

アウトバウンド業務は、顧客の意見を知る優れた方法です。アウトバウンドコールセンターで実施される調査には以下のようなものがあります。

5.顧客とのコミュニケーション

アウトバウンド業務は、顧客へ能動的に働きかけることで、コンタクトセンターへの問い合わせを減らすことができます。例えば、企業は予約のリマインダーを送信したり、イベントのキャンセルを通知したりすることができます。高度なダイヤラーは、IVRを使用してエージェント不要なアウトバウンド通話を個別に行う機能を搭載していたり、大量のメールやテキストメッセージを送信したりすることができます。エージェント不要で積極的なコミュニケーションは非常に安上がりに済みます。

アウトバンドコールセンターの主なKPI

Key Performance Indicators

アウトバウンドコールセンターは、パフォーマンスを測定するために独自のKPI を持っています。以下が、頻繁に使用されます。

1.接続率(コンタクト率)

接続率は、顧客、見込み客などへつなげられた成功率を測定します。顧客につながった件数を、発信した回数で割って計算します。発信数が多くてもつながる件数が低ければ、効率的とは言えません。接続率は、アウトバンド業務の効率性を確認する指標になります。

2.成約率

成約率は、一定の条件を満たした見込み客、消費者などにつながる接続の割合を計算して、コールの成功度を測定します。アウトバウンド業務における目標では、特に重要視されるKPIの1つです。

3.平均処理時間

平均処理時間(AHT)は、エージェントが個別のコールにかける平均時間です。会話時間、保留時間、コール後の入力作業にかかる時間が含まれます。業務効率とアウトバウンドコール数に影響を与えるため、緻密に管理する必要があります。

4.コール数

コールセンターの生産性を管理する際には、エージェントの1日当たりのコール数をおさえておく必要があります。アウトバウンドコールセンターでは、業務期間が決まっているものもあるため、一定時間にかかるコール数を重視するケースもあります。マネージャーはエージェントごとのコール数をチェックし、目標を達成できていないエージェントを特定します。

5.放棄呼率

接続されたコールが、エージェントにつながる前に顧客が切断した場合や、通話相手が電話を切らなかった場合でも、利用可能なエージェントにつながるまでの時間が一定時間を超えた時に、アウトバウンドコールが放棄されたとカウントします。

6.保留時間

保留時間が長くなると、CXに悪影響を与え、調査の必要性を示唆することがよくあります。例えば、エージェントがプロセスで一部のステップを実行できないために顧客を保留状態に置いたり、システムの動作が通常よりも遅かったりすることがあります。保留時間が一定の値を超える場合、エージェントのトレーニングを強化しなければならない可能性があります。

7.応対品質

インバウンド業務と同様に、アウトバウンドコールセンターでも、厳格な品質管理プログラムを導入する必要があります。品質アナリストは、個々のエージェントがパフォーマンスを改善し、成約率を上げられるようにする方法を見つけることもできます。

8.占有率

占有率は、コール関連の業務にかける時間と、空き時間の比率を示す、効率指標です。アウトバウンドコールセンターは、エージェントに負担をかけすぎずに、適度に忙しくさせる占有率を目指す必要があります。

アウトバンド業務を助けるテクノロジー

Call Center Technology

アウトバウンドコールセンターにまつわるさまざまな自動化の方法を紹介します。

1.ダイヤラー

自動的にダイヤルできるダイヤラーは複数の種類が存在します。業務ニーズやコンプライアンス要件にあったダイヤラーの使用をおすすめします。

・プレディクティブ・ダイアラー

プレディクティブ・ダイヤラーは、エージェントの応対が終了する時間を予測し、終了間際にいくつかの番号へ発信します。プレディクティブ・ダイヤラーは、コールセンターのデータに基づき、いくつの番号へ発信するかを決定します。生産性が最優先される場合には有効ですが、プレディクティブ・ダイヤラーを使用するアウトバウンドコールセンターは、放棄呼率を細かく見守る必要があります。

・プログレッシブ・ダイヤラー

プログレッシブダイヤラーは、エージェントが空き次第、番号を1つ選んでダイヤルします。顧客がエージェントとすぐにつながるため、顧客にとって非常に便利な方式ですが、プレディクティブ・ダイヤラーほどの生産性は得られません。

2.IVR

アウトバウンドIVR は、アウトバウンドのパーソナライズされたコミュニケーションを、自動的に大量に配布できます。例えば、予約のリマインダーや製品のリコールをプッシュ通知し、人間のエージェントよりも素早く、低予算で行えます。IVRのため、連絡を受ける人々は、セルフサービスやエージェントへ接続するオプションを含めて、システムとやりとりできます。

3.通話記録

各コールで何が話されたかを録音することは品質管理プログラムにとって不可欠であり、コンプライアンスでも要求されている可能性があります。よく使われている通話記録ソフト は、音声とエージェントの画面の両方を記録し、機密情報をマスキングし、豊富な引き留めツールを用意しています。

4.品質管理

アウトバウンド業務は、品質管理ソフトを使用して品質管理プロセスを簡素化し、より実用的なパフォーマンス改善を促せます。高度な品質管理ソフト は、カスタマイズ可能な評価フォーム、評価とコーチングのワークフロー、品質評価結果をわかりやすく表示できるシンプルなダッシュボードを備えています。

5.レポートと分析

アウトバウンドコールセンターは非常にデータ主導型の業務であることがおわかりいただけたと思います。こうしたKPIを詳細に管理するため、アウトバウンドコールセンターは、リアルタイムにデータを提供し、問題のある領域を明らかにし、マネージャーが複数の方法でデータを分析できるようにする、柔軟なレポーティングと分析ツールを必要とします。

アウトバウンド業務を成功させるポイント

Contact Center Call Compliance

アウトバウンドコールセンターには多くの変動要素があります。成功するには、適切なタイミングで正しく行動を取ることを目指さなければなりません。以下、成功するコールセンターのリーダーが重視すべき重要なポイントをいくつか挙げます。

1.業務プラン

どのような業務であれ、基本的なプロジェクト管理テクニックが役立ちます。マネージャーは以下を行う必要があります。

2.良質な顧客リスト

良質な顧客リストを用意することは、不可欠です。リストの質が低いと、エージェントは間違った電話番号や、製品または調査には不適切な見込み客にあたることが増えて、効率が下がります。顧客リストは購入するか、自身の顧客データベースから取得できます。購入する場合、品質をチェックするためにリストのサンプルを試してみてください。

3.従業員の意欲向上

アウトバウンドコールセンターは、良質な顧客リストと高度なテクノロジーを備えていても、エージェントが仕事をこなさなければ業務は失敗に終わります。正しい人材を雇い、適切な研修を実施し、高品質なツールを提供し、改善を継続することです。特に営業のエージェントは、実質的なインセンティブに魅力を感じます。アウトバウンドコールセンターは、福利厚生やボーナスを取り入れることを検討すべきでしょう。

NICE CXoneについて

NICE CXoneは、インバウンドとアウトバウンドのコールセンターを支援するクラウド型プラットフォームです。CXoneには、収益を増やし放棄呼を減らす、特許を取得したプレディクティブ・ダイアラーが含まれます。特許取得済みのテクノロジーは、顧客が電話を切る可能性を減らし、エージェントへスムーズにつなげます。