AIでコールセンターの課題を解決!活用事例4選

コールセンター業界でも、AIやChatGPTが注目を集めています。そんな中、AIを活用したいけど、具体的にどうやって活用したら良いのか、活用により見込めるメリットは何なのか、と思う人も多いでしょう。本記事では、そうした疑問にお答えする、AIの活用事例を4つ紹介します。

コンタクトセンターの課題にアプローチするAI活用

ガートナーの調査によれば、AIを導入したコンタクトセンターでは、センター全体で25%の生産性向上が見込めるとしています。人手不足が続く中、業務効率化はセンター運営において必須の課題と言えます。AIを活用することで、少ないリソースでもより多くの応対を処理しながら、カスタマーサービスの品質向上が可能です。AIを活用したコンタクトセンター機能は多くありますが、AIの能力を最大限に活用するためには、解決すべき課題を明らかにした上で、機能がもたらすメリットにも目を向ける必要があります。

コンタクトセンターのAI活用事例4選

昨今、より多くのコンタクトセンターソフトウェアのベンダーが、急ピッチで自社のシステムにAIを組み込んでいます。現在AIは、より正確な予測や効率化が必要な業務領域の特定、より優れたセルフサービスを提供するためなど、さまざまな領域で活用されています。

1.音声認識IVRで応対時間の短縮

初期のIVRでは、顧客は複雑なメニューオプションの迷路に迷い込み、結局オペレーターにつなぐというケースがよくみられました。

CXを重視する組織は、IVRのようなセルフサービスを便利で満足のいく体験を提供できる、有能なチャネルと見なしています。顧客自身が問題を解決できるように、もしくは追加支援のためスムーズにオペレーターへの引き継ぎができるように、セルフサービスを設計し、最適化することが必要です。

このようにIVRによるセルフサービスをより効果的で、顧客にとって使いやすいものにすることで、自己解決を促し、呼量を削減するというセルフサービス本来の目的を達成することができます。NICEが行ったセルフサービスに関する調査によると、セルフサービスチャネルにおける一次解決率が62%で、オペレーターが応対した場合の55%よりも高いことが明らかになっています。

これらの結果から、コンタクトセンターパイプラインの調査では、コンタクトセンターの25%が将来的にセルフサービス機能への投資を増やすという結果も出ています。

こうしたトレンドの背景にあるのは、AIの一分野である自然言語処理(NLP)により、IVRで音声認識が可能になったことです。かつては、メニューを選択するのに、ガイダンスを聞いた上でキーパッドを押す必要がありました。しかし、音声認識が可能なIVRでは、顧客が音声で質問をするだけで、AIが音声で質問に回答することができます。

IVRを次のレベルへ引き上げるために、企業はAIを活用したバーチャルオペレーターをIVRに統合し、Siriのようなスマートな体験を実現することもできます。靴の販売を行うアメリカのDSW社は、この機能を利用して、従来はオペレーターが行っていた本人確認作業を自動化することに成功しています。これにより、対応時間が2分短縮し、顧客満足度も大幅に向上しました。DSWの事例は、AIを活用したセルフサービスを導入することで、サービス時間や応対キャパシティを拡大し、顧客満足度を向上させた良い例です。

2.オペレーター支援で応対品質を向上

品質管理業務をアナログな手法で行っているセンターは少なくありません。ランダムに抽出した通話記録をもとに、オペレーターへのコーチングを行なっても、1日で何十件以上も応対を行なっているオペレーターはその詳細を覚えていません。

ランダムなサンプルに頼ると、品質向上が必要な通話を見逃す可能性があり、改善点を正確に特定できません。また、応対からコーチングまでの時間が長くなればなるほど、フィードバックは効果的でなくなります。

AIを活用することで、品質管理業務をより効率的に行うことができます。NICEが提供しているリアルタイム応対ガイダンスでは、リアルタイムですべての応対をAIが分析し、オペレーターのソフトスキルに関するフィードバックをリアルタイムで提供します。

例えば、電話をしている顧客がストレスを感じていると判断した場合、共感を示すようオペレーターに注意を促すことができます。また、オペレーターが顧客の話を何度も遮っている場合、システムはオペレーターに積極的な傾聴スキルを使うよう指示することができます。リアルタイムのAIコーチングは、即座にフィードバックを提供し、オペレーターの不適切な行動が長引く前に修正するのに役立ちます。

AIを活用したオペレーター支援RPAは、オペレーターの日々の応対業務もサポートします。例えば、顧客がソフトウェアの機能について質問している場合、オペレーターのデスクトップ上に、機能に関するナレッジベースを自動的に表示します。また本人確認や口座残高の表示など、従来オペレーターが担っていた業務をAIがサポートをすることで、一次解決率の向上、処理時間の短縮、応対品質の向上に役立ち、これらすべてがCXの改善につながります。

適切なタイミングでのサポートや、応対業務の簡素化を図ることで、オペレーターの業務負担を減らし、離職率防止にもつながります。

3. AIチャットボットで呼量を削減

コンタクトセンターにおけるAI活用といって、多くの人が思い浮かべるのが、AIチャットボットやバーチャルオペレーターではないでしょうか。一方で、回答の精度が低い、対応できる内容が限られているなど、うまく活用できないと感じている人も多いのではないでしょうか。

しかし、適切に設計し、適切なタスクに適用した場合、チャットボットとバーチャルオペレーターはオペレーション業務とCXに大きなメリットをもたらします。

AIチャットボットとバーチャルオペレーターは、電話だけでなく、チャット、SNS、メールなど、さまざまなオムニチャネルで利用されています。よくある質問への回答、予約の確認、パスワードのリセット、注文状況の提供など、狭義で明確な応対処理で効果を発揮するのが特徴です。

チャットボットとバーチャルオペレーターは、コンタクトセンターの営業時間外にも対応できるため、24時間365日のサポートを提供します。さらに、数千の応対を同時に処理できるため、コンタクトセンターのキャパシティを迅速に拡張することができ、人材不足の問題にも対応します。

注意しておきたいのは、チャットボットやバーチャルオペレーターの設計が不十分な場合、CXに問題を引き起こす可能性があることです。こうしたリスクを減らすために、新しい機能を試験的に導入し、まずは簡単な応対処理から始めると良いでしょう。

4.AI分析ツールで品質管理業務の効率化

クレーム処理で忙しく、オペレーターのコーチングや業務分析まで手が回らない、と考えているスーパーバイザーは多いのではないでしょうか。AIは、スーパーバイザーの業務効率化でも役立ちます。

AIを活用した応対分析ツールは、専門的な分析知識がなくても、簡単に応対業務を分析することが可能です。電話やチャット、メールなどオムニチャネルでの応対データを横断的に収集し、コールリーズンや顧客の感情などを分析します。高度なツールであれば、コールリーズン分析から、将来的な問い合わせ内容の予測も可能です。

さらに、AIを活用した応対品質管理では、応対品質管理をより効率的かつ正確にすることができます。全チャネルにおける応対をAIが分析し、改善が必要な応対をピンポイントで特定することが簡単にできます。手動で評価する応対を探し出したりする必要はなく、また評価する応対にばらつきがあるといった問題も解決できます。

先ほど紹介したオペレーター支援ツールと合わせれば、AIがリアルタイムで応対品質改善のためのアドバイスを行い、個々のオペレーターの課題に合わせたコーチングを自動で組むことも可能なため、スーパーバイザーがコーチングや研修にかける時間を減らすことができます。

AI活用を実現するNICEのコンタクトセンターシステム

NICE CXoneは、コンタクトセンターがCXの目標を達成するための支援に100%フォーカスした、業界をリードするクラウドコンタクトセンターシステムです。自動化オペレーターの定着率向上VOC分析など、課題に合わせたソリューションをご用意しています。

NICE CXoneの特徴

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NICEのサービスは、お客様の課題やニーズに応じて、柔軟に対応することができます。コンタクトセンターシステムに興味がある方は、お気軽にご相談ください